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「PP58チェアの話」 -
PP Mobler 名作を今も作り続けるクラフトマン集団を訪ねて⑥
PP58 ウェグナーの魂宿る最後の椅子”The Last Dining Chair”2007年9月に生涯を終えることとなったウェグナー。
生涯500種以上もの椅子のデザインをしてきたが、
結果的に1987年に発表したこの椅子が彼の”最後のチェア”となった。
ウェグナーの魂宿る最後のチェアのお話です。
(左)ペーパーコードのPP68 (右)革張りのPP58
様々なスタイルで座り心地を追求し、
PPモブラー社の創業者アイナ・ピーターセンとの話し合いの末
1987年に完成させる。
もともと違う工房のためにデザインされたものだが、
その工房が他モデルを採用することになったため、
ウェグナーとピーターセンはデザインの改良を進め、
1987年にPP58、PP68の製造を始めるたのだった。
深く腰掛けたり、浅く掛けたりして掛け心地を話し合うアイナとウェグナー
このチェアはPPモブラーが一本の厚くて大きな木を曲げることに成功し、
大幅なコストダウンにつながったことでも評価が高い椅子だ。
後ろ脚2本だけで肘掛の機能を持つ背もたれを支える構造は、
ウェグナーの代表作にも多くみられ、制作にはコストと職人腕が必要だが、
PPモブラーのコンピューター制御と熟練の職人技術が
コストを抑えながらもとても強固なフレームを作りだしている。
4本の脚を支える腕木の構造
アームから背もたれ部分は脚部に押さえつけられ、頑丈に繋げられるペーパーコードの話
ペーパーコードはその名の通り”紙”からできている。
一枚を縒ってできたロープはさらに3本をねじって丈夫にする。
座面を張る際はかなりの力を要し、
整った座面にするにはとても熟練した職人でないとできない。お尻が突き出る程深く腰掛けてると自然と背筋がピンとする。
浅く腰掛けると背中の当たり具合が調度良い。
少し横を向いてもたれても、体を受け止めてくれる。
テーブルの下にもぐりこむ短いアームのデザインは、
ダイニングテーブルとの相性も良い。
アイナとウェグナーが掛け心地を話し合って、完成されたこのフォルム。
座り心地を追求し続けたウェグナーの生涯を通しての完成品だろう。生涯を終えた今も自身の作品が世界中で愛され、
作り続けられていることを彼はどんな気持ちでみているのだろうか。
デンマークの家具を巡る旅9 「Hanna Vedel(ハナ・ヴェーデル)さんの話」へ続く
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